医療業界(病院)の身だしなみが改善されない理由

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医療業界(病院)の身だしなみ改善がされない3つの理由とは


医療機関(病院)で身だしなみが改善されない3つの理由

地域中核病院をはじめ、医療機関から「身だしなみ改善」の相談が増えております。接遇委員会や患者様満足度(CS)向上チームなどが中心となって取り組んでおりますが、なかなか「身だしなみ」が改善されなくて困っているリーダーが多いようです。なぜ、病院で身だしなみの改善が進まないのか、理由や原因を考えてみました。

1.身だしなみよりも「技術」が大事(身だしなみ<技術)

医療に携わる方々は、人々の命や健康を守るために高い意識を持ち、身を粉にして働いていらっしゃることもあり、「身だしなみ<<<技術」と考えている方が多いのではないでしょうか。日々の多忙な業務に加え、当直や夜勤などの特殊な勤務形態もあり、身だしなみに構っていられないと感じている方もいらっしゃるでしょう。しかし、それは患者様の考えとミスマッチを生んでいます。患者様にとっては「身だしなみ≦技術」くらい大事なポイントと言えます。

医療においては、もちろん診療・看護・リハビリなど、技術が第一です。しかし、その技術を発揮する治療行為に至るまでに、身だしなみ(第一印象)を見て、患者様はその人がどのような人なのか「判断」しています。いくら技術が100点でも身だしなみが低い点数であれば、総合評価を下げてしまう恐れがあります。

その背景には、心理的効果である「ハロー効果」というものがあります。ある人を判断するときに、目立ちやすい特徴によって、その他の判断内容までもが引きずられてしまうというものです。人が誰かに出会った時に、目立ちやすい特徴となるのはやはり「外見(身だしなみ)」です。この外見の印象で、自分の人間性までもが、相手の中で決定づけられてしまう、というのがハロー効果であり、特に日本人はこのハロー効果の影響を強く受ける傾向があると言われていますので、身だしなみの低い点数により、全体の印象度を下げてしまうことは非常にもったいないと言えます。

2.身だしなみ規定・身だしなみチェックシートに課題がある

現在までたくさんの医療機関の接遇改善に携わる中で、各医院の身だしなみ規定やチェックシートを拝見してきました。共通して言えるのは、具体性に欠け、個人の感覚・物差しで良し悪しが決められる内容になっていることです。例えば、「長い髪は束ねる」という項目ですが、束ね方にも各個人の個性が出るため、結局規定で定めているはずなのに、身だしなみがなっていないという状況を生み出してしまいます。

また、「なぜ医療において身だしなみが重要なのか」という意識づけができていないために、せっかく「身だしなみ規定(マニュアル)」を作っても浸透しない傾向があります。例えば、航空会社には、身だしなみについて細かく厳しい規定がありますが、それをもとに、スタッフ一人ひとりの身だしなみが会社の印象を左右するのだという意識づけが新人の頃から徹底的になされるため、身だしなみに対する意識が全社的に高く、組織文化として定着しているのだと言えます。

参考チェックシート イメージ図

(引用元:(株)日立ソリューションズ ビジネスマナーのいろは 服装&身だしなみチェックシート)

3.部下や同僚から嫌われたくない

身だしなみの改善の障害としてよくあげられるのが「互いに注意しづらい環境」です。

チーム医療と言われるように互いに密に関わりながら、責任ある仕事をするため、人間関係を良好にして仕事を円滑に進めたいがために、「身だしなみなんて注意したら、嫌われて仕事がしづらくなる」という懸念が生まれているように感じます。

医療は仕事のパフォーマンス(売上や貢献度など)が目に見えにくく、自分の仕事が利益を生んでいると思いにくいことも一因でしょう。そのため、患者様からみた評価には、興味がない方が多く、患者様からはどう評価されてもいいけれど、ともに働く仲間からの評価を気にする方が多いようです。そのような環境を改善するためにも、医院に適した身だしなみマニュアルの作成や身だしなみリーダーを決めるなどの措置が必要だと考えます。

まとめ:医療機関が身だしなみを改善するために

ここに挙げた「身だしなみ改善が進まない理由」は、これまでに私たちがご相談いただいた病院内で起こっている状況や要因を中心にまとめさせていただきました。一方で、院内の接遇改善・接遇強化の一環で、きちんと「身だしなみ」が徹底されている病院もあります。この差はどこにあるのでしょうか。

例えば、「身だしなみ」に対する考え方や取り組み方。

身だしなみは、接遇の一つの要素ではありますが、身だしなみを改善すれば「よりよい接遇」が実現できるわけではありません。よりよい接遇を実現するためには、好印象を与える「身だしなみ」があって、患者様に信頼される「話し方」や「立ち居振る舞い」も必要です。接遇への取り組みを「身だしなみ」という枠にとどめず、病院全体で「接遇」に対する考え方や取り組み方を理解する必要があるでしょう。

また、身だしなみが改善されない理由の2.で挙げた「身だしなみ規定」や「身だしなみチェックシート」の精度を高め、身だしなみをチェックする基準を院内で統一・共有化するだけでも身だしなみの改善・定着度合いが変わるでしょう。私たちにご相談いただいた場合には、このチェックシートの確認や身だしなみを改善するための規程・マニュアルづくりまで携わらせていただきます。

最後に、「接遇」や「身だしなみ」に限ったことではありませんが、入職して経験を積み、上司・リーダー職として部下を持った方の中には、「部下との接し方や教育が苦手」という方が多いようです。日頃から部下とどのように良い関係を築き、どのようなコミュニケーションを取っておくべきか、部下に接遇面や身だしなみの良くない点を注意し、改善してもらうためにはどのような指導方法を取るべきなのか、これら「部下への指導法」に関する研修を院内で企画する、ということも必要になるかもしれません。

いずれにしても、病院全体で、何のために身だしなみを改善するのか、接遇とはどのような要素があるのか、身だしなみを改善し院内で定着化するためには、どのような仕組みやサポートが必要なのか、一過性の「改善運動」「院内取組み」で終えず、3年後・5年後を見据えた計画的な行動計画が必要になるのではないでしょうか。

乾 裕子 先生

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